日々の暮らし〜佐川美術館【建築探訪】0803
我が家では家族旅行や遠出をするときにはなるべく近くにある美術館に行くようにしています。
先日も藤森照信さんのラコリーナ近江八幡を見た後に、佐川美術館にも立ち寄りました。
私は二十年ぶり二度目の訪問ですが、相変わらず水盤が美しいシンプルな建物でした。
設計はご存じ竹中工務店さんです。
(残念ながら閉館間近に行ったので、きれいに写真が撮れませんでした)
特別展では滋賀県の里山に住みながら創作活動をされている今森光彦さんの写真や切り絵などとても楽しくなる展示をやっていました。
今森光彦展 いのちめぐる水のふるさと〜写真と切り絵の里山物語〜
小学生の子ども達も結構楽しんでいました。
日々の暮らし〜キッチンのバリエーション〜0726
住宅のプランの中で一番重要なポイントはキッチンになります。
I型、対面型、ペニンシュラ型、アイランド型色々なレイアウトの種類があって、家づくりの時の悩みどころです。
それぞれの特徴やメリットデメリットがあるので、家の形や生活スタイルで一番合ったレイアウトを採用しています。
簡単ですが、それぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。
I型 基本的には壁に向かってキッチンが設置されます。
メリット
・省スペース
・調理に集中できる
・吊り戸棚など収納が設けやすい
デメリット
・壁に向かうので圧迫感がある
・部屋の様子が分かりにくい
・来客にキッチンが丸見えになりやすい
I型はキッチンのレイアウトの中でも基本的な形です。狭いスペースでも省スペースで設置できるので、ワンルームや狭小住宅などで一番採用されています。
ワンルームなどでも使用しますが、ごちゃごちゃ感を下げるため最近はキッチンの前に建具を設けてキッチン自体を隠したりします。
省スペースなんですが、冷蔵庫や食器棚を置く場所が一番困る事が多いです。
対面型 ダイニングに向かってキッチンが設置されます。
メリット
・部屋の中に向かって調理するので、部屋の様子がよく分かる
・カウンターを作って食事スペースを設けやすい
・腰壁で手元を隠す事が出来る
デメリット
・一定の作業スペースが必要なので、狭い部屋には設置が難しい
・料理の受け渡しの動線が長くなりやすい
・吊戸棚を設けると部屋が狭く感じる
かつて一世を風靡したキッチンで、奥様の孤独感がだいぶ下がりました。
現在も大半の新築で使われている形です。
実はあまりキッチン自体が見えないので、それほどお金をかけなくても良いプランです。
ペニンシュラ型(半島型) 対面型ですが腰壁が無い形です
メリット
・対面型と同じく部屋の様子がよく分かる
・キッチンの奥行きが広く調理作業がやりやすい
・反対側からも調理の手伝いが出来るので、複数人で調理出来る
デメリット
・手元を隠す事が出来ないので、来客時に常に片付ける必要がある
・キッチンの収納スペースが限られる
・キッチンが丸見えなので、ある程度のグレードが求められる
対面型から最近はこちらの方が主流になりつつある気がします。
仕上面がダイニング側にも必要になるので価格が一段アップします。
また奥行きや対面側のスペースも必要になりまるので、ある程度の広さのDKがないと採用できません。
ただ料理好きの方や家族みんなで料理したりする家庭には一番ピッタリです。
アイランド型 ペニンシュラ型が壁から離れて設置されています
メリット
・キッチンの周囲に回遊動線が作られるので動線が良い
・キッチンと同じ流れでテーブルを設置すると配膳や回収の動線が短くすむ
・ペニンシュラ型と同じメリットがある
デメリット
・ペニンシュラ型と同じデメリット
・キッチンスペースを一番広く確保する必要がある
・コンロの煙や臭いが拡散しやすい
今私が自宅で使っている形のキッチンです。
この形の何が一番良いかというと、動線が最高です。あっちからもこっちからもキッチンに入ってこれるので、I型みたいにキッチン内が渋滞したり調理の邪魔になることがありません。
ただこの形は一番キッチンのスペースが必要になるので、キッチンをメインでプランを考える必要があります。
他にもL型やセパレートなど色々なバリエーションがありますが、それぞれの特徴を活かたプランニングをしたいと思っています。
日々の暮らし〜夏の暮らし〜0720
いよいよ梅雨が明け真夏がやってきました。
そこで日本の高温多湿の気候で過ごしやすいのは、木造なのか鉄筋コンクリートのマンションなのか考えました。
私はマンションも木造戸建も住んだ経験がありますが、数ヶ月前まで住んで居た築20年ほど経ったマンションは9階建ての最上階で明石海峡も見えるロケーション抜群の家でしたが夏の暑さだけは強烈でした。
もちろん、昼間エアコンを入れれば室内の温度は下がりますが問題は夜の暑さでした。昼間熱せられたコンクリートの屋根は夜間も熱を蓄えたままです。
十分な断熱が出来ていないコンクリートの屋根ほど夏の夜に辛いものはありません。
寝室は夜もエアコンをつけていましたが、途中タイマーで消えるとすぐにもわーっとした猛烈な暑さになります。
もちろん、最近のマンションは昔とは比較にならないほど断熱施工してありますので心配ご無用ですが、中古物件を買うときは注意しておかないと私のように、夜暑くて4回も5回も起きて寝不足になる羽目になるでしょう。
最近自分で建てた木造の高断熱仕様の家に引っ越しましたが、昼も夜もこの暑さの辛さを感じません。
前回のコラムで書いた暗いスペースは昼間でもエアコンが要らないくらいなのでお気に入りの場所になっています。
それもこれも一重に断熱材と断熱サッシのおかげ様ですが、もう一つ感じているのは湿度が明らかに外部より下がっているように感じるのです。
今度ちゃんと計ってみようと思いますが、どうやら家のフローリングで採用している無垢材と壁の珪藻土が湿度調整してくれているようです。
残念な事に最近の家はフローリングにも塩ビシートを貼ったもので、壁はビニールクロスなので部屋の中はサランラップでくるまれた感じです。それでは湿度はなかなかか減らないのでは無いかと思います。
木造の家を建てる時は、せっかくなので出来るだけ木の素材を見せたり無垢材を使用すれば夏の暮らしの快適度はアップすると思います。
あと、東向きの窓のある部屋で寝る場合は窓はシャッターを付けると、朝4時くらいから朝日よ蝉の鳴き声で目覚める事もないのでお勧めですよ。
日々の暮らし〜陰翳礼讃〜0719
「陰翳礼讃」谷崎潤一郎の作品です。
有名な作品なので今更説明も要らないと思いますが、建築をやっている人間としては非常に為になる一冊です。
日本の家は西洋化が始まって以来、どんどん明るくなってきました。
ガス灯から白熱灯、蛍光灯そしてLEDまで。
その結果、家の中は真っ白けになりました。
最近はLEDでも白熱灯色が多くなったのでだいぶマシになりましたが、30年程前は酷かった。
もちろん、明るい事のメリットは一杯あるのですが問題は明るいところだらけなのです。
はっきり言って落ち着かない。
細かい作業をするところや化粧室は良いのですが、玄関、廊下、トイレまで真っ白けになっている家がいかに多いか!
逆に欧米のホテルや家に行った事のある人は分かると思いますが、家の中は意外と暗いのです。
日本人には暗すぎる感じですが、西洋人は必要なところはスタンドなどで明るくし、あまり家全部を明るくしようという発想がないようです。
夜も煌煌と灯りの付いている日本の家と、全般的に暗い欧米の家のどちらの家が落ち着くかと言えばすぐ分かります。
私は夜の照明だけでなく間取りなどプランニングする際にわざと暗くなる部屋を作るようにしています。
それによって、家の中で長く過ごしていてもメリハリが出来るのです。
明るい部屋で過ごしたい時は明るい場所へ行き、暗くても落ち着いた場所が良いときは其処へ行く。
それだけですが、充分楽しくなったりします。
建築家の伊礼智さんの本を読んでからダウンライトに頼らずにブラケット照明を利用するようになりました。
ダウンライトは部屋内がすっきりするので良いのですが、明るすぎて落ち着かなかったり寝室に取り付けるとベッドに寝た時に光源が直接目に入って非常に不快に感じるのです。
止む無く居室でダウンライトを付ける時は調光器は必須だと思いますが、なるべく使わないようにしたいと思っています。
日々の暮らし〜玄関ドアの事〜0625
6月も後半になってだんだん夏の空になってきました。
暑くても良いのでカラッとした夏になって欲しい…。
さて、住まいの第一印象は家の外観や玄関です。
最近の家はオープン外構なので、道路から玄関ドアが丸見えの家が意外と多いです。
いくら外観が良くても、ドアを空けた瞬間散らかった玄関が見えて生活感を感じてしまうと興ざめですね。
実は設計する上で玄関ドアは非常に厄介なものの一つなのです。
玄関ドアは出来るだけ見えない位置に持ってくるようにしていますが、どうしてもゾーニング上
道路に面した位置に来る場合があります。
その場合は出来るだけ道路から中が見えないように、わざと建物の壁を設置して隠したりします。
玄関前に壁があると若干圧迫感がありますが、目隠しがあることで気兼ねなくドアを開けられる方が良いと思います。
圧迫感は壁にスリットを設けたり、色を変えたりする事で緩和出来ます。
あとデザイン的に木目が良いとか、洋風が良いとか言いますが、まず第一はその家のイメージに合っているかどうか。
色やデザインの調和が大事ですね。
玄関ドアだけを見て決めてしまうと、家の雰囲気にマッチしなかったり変な木目が気になる家になったりしますのでご注意ください。
ちなみに引き戸の玄関ドアはスペースが無い場合や、物の出し入れが多い場合はお勧めです。
我が家はLIXILのエルムーブですが、玄関前がガレージなので邪魔にならないし、アウトドアの荷物の出し入れも困りません。
アウトドア派の人にはお勧めですね。
日々の暮らし〜中庭〜0622
中庭の良さは、家の中に外部空間を作る事が出来る事です。
住宅は敷地によっては、充分に外部に面した開口部を取る事が出来ず風通しや日当たりの悪い空間になったします。
特に、細長い敷地や旗竿地の場合はプライバシーを考えると大きな開口部を取る事が非常に難しいので、中庭を作る事で外部の光や風を取り入れるようにします。
ステイホームの時代、長時間家の中に閉じこもると外の風や光が欲しくなったりすると思います。
そういう時に、少しでも中庭から入る光や風、樹木の様子を見ることができるとホッとするものです。
また6帖以上のスペースがあれば、数人でBBQもできますし、庭の代わりとしても活用できます。
我が家では大きな中庭が取れなかったのですが、80㎝×80㎝の中庭にシマトネリコを植えましたがそれだけで日々充分に癒し効果を感じています。(記事冒頭の写真です)
住宅の打ち合わせのメインは平面図になりがちで、どうしても平面図では日当たりや風通しは分かりにくく、完成してから初めて感じる事が多い部分です。
そういう失敗が無い様にプランニングやアドバイスをしていきたいと思います。
日々の暮らし〜コロナで変わるもの〜0618
新型コロナで大変な事になって早一年以上経ちました。
いつ感染するかとヒヤヒヤでしたが、ワクチン接種も見通しが付いてきたようでもうひと頑張りかと思います。
コロナによって日頃の暮らし方も変わってきたように思います。
特に、ステイホームで在宅時間が長くなった事で住まいについて色々考える時間が増えたと思います。
割と自分は建築の仕事をしながらも、アウトドア派?なので休日も一日家にいるとソワソワしてしまします。
そんな私にステイホームはなかなか辛いものがありました。
ただステイホーム期間中マンションから戸建に引越しましたが、家に居てもそれ程苦痛じゃ無くなった気がします。
一般的な話ですがマンション住まいは家の大きさにもよりますが、やはりプライベートのスペースが少ないので家族が集まり安いという特徴があります。
子供が小さい時や奥さんと仲が良い時期はイイですね。
ただ、子供も小学校の高学年になってくると自分のスペースや物も増えてきます。するとどうしても親のスペースが浸食されてきて、ストレスが増えて夫婦喧嘩になったり散々な事もあります。
我が家の事ですが戸建に引越しをして家族それぞれのスペースを作る事ができたので、引越後は家族4人が思い思いの場所で過ごす事が増えました。
昔の事を思うと少し寂しい気もしますが、子離れ、親離れは大事な事だと思います。
食事の時間や何か家族でお祝い事や遊んだりする時は狭すぎず広すぎずできるだけ過ごしやすいスペースを作るようにしました。
我が家は玄関から階段、2階のLDKとロフトまで空間をつなげています。廊下にドアを付けていないので、音や振動で大体誰がどこにいるのか気配で分かります。
なので家族の疎外感はあまり感じません。
コロナ期間中、改めて家の中を見直したり新しい家を探す人も増えたようです。
これからも家族の関係性や過ごし方がそれぞれに合った家を設計していきたいと思います。
-フクモト
日々の暮らし-0609
マンションから海の近くの戸建に引っ越してから一月半程経ちました。
子供の学区の関係で距離的には近い引っ越しになりましたが、徒歩1分で海に着ける環境は初めてです。
自宅から海はほとんど見えませんが、風は潮の香りがして心地いいです。
引っ越し後、一番変わったのは、休日の過ごし方でした。
すぐに海に行けるので、釣りをしたりカヤックをしたりするのも準備も移動もノーストレスです。
引っ越し前のマンションは高層階から下におりて荷物を車に載せるのが非常に面倒くさくて、どうしても引き籠もりがちでした。
それでも1時間近くかけてキャンプ道具一式を車に積み込んで出かけていたので、よく頑張った方だと思います。
他にも早く家に帰れた時は海沿いを散歩したり、ランニングも出来ます。
明石海峡を望む夕日もきれいです。
家を作る仕事をしていますが、立地だけは後からどうする事も出来ません。
土地を探す時は敷地の大きさや周囲の家も気になりますが、どういう生活をしたいかイメージをしながら探す事も大事ですね。
ーフクモト